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エルメス四重奏団 45 今回は、エルメス四重奏団にとって初のモーツァルト作品のレコーディングとなりました。 モーツァルトの音楽は、とかく“自然発生的”に聞こえますが、それでも録音の準備が整う までに、数年をかけて曲を熟成させる必要があったのでしょうか? それは永遠に決着することのない議論ですね! ひとがモーツァルトをもっとも上手に演奏 できるのは10歳の時だ、とよく言われます……しかし10歳の頃の私たちには、まだ彼の隠 れた一面を見抜けていませんでした。彼の楽譜は、たとえばハイドンの四重奏曲のように、す ぐさま明瞭に解せるものではないからです。しかし奏者が年を重ねて成熟すれば、モーツァ ルトの意図をはるかに深く理解できるようになります。彼の音楽に特有な自発性を引き出す ためには、知性を介して微細なフレーズをも分析し、いかなる細部もおろそかにしない姿勢 が必要になります。一つ一つの音符が重要なのです。それに加えて、曲の滑らかな流れを追 求し、音楽が決して途絶えることなく、私たちの心のなかから絶えず湧き出しているような印 象を与えなければなりません。その点で、ブレンデル先生の右に出る者はいないでしょう! しかも、K.421を温めて熟考を重ねてきた数年間のおかげで、私たちは想像力を育み、この 曲の世界観を構成する“登場人物”たち一人一人に、より深い奥行きを与えることができま した。

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