37 ジャン=バティスト・フォンリュプト ラフマニノフは、前奏曲を含む自作の録音をいち早く後世に残したコンサート・ピアニスト でもあります。今日のピアニストたちは、これらの演奏録音をどのように参照すべきでしょ うか? ラフマニノフは、自作の演奏に最も適したピアニストが自分自身であることをまざまざと見せ つけたいっぽうで、他のピアニストによる彼の作品の演奏にも強い関心を示しました。彼は、 自分が思いつかなかったアイデアを耳にしたときには、それを良き兆候として受けとめてい ました。彼が録音を残した前奏曲は一部だけですが、それを聞くことは必須だと私は考えて います。 彼の演奏には軽やかさがあります。粗雑で大仰なところは一切なく、ルバート はほとんど行わず、ペダルも控えめです。私は今回のレコーディングに向けた 準備の最中に、つねに彼の演奏の特徴を念頭に置きながら、自分自身の演奏 解釈を探求しようと努めました。
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