貴方は前回のアルバムでストラヴィンスキーとプロコフィエフを取り上げました。ことのほ かロシア音楽がお好きなのでしょうか? 本盤に収めたラフマニノフの音楽と貴方の繋が りについてもお話しください。 ジャン=バティスト・フォンリュプト: セルゲイ・ラフマニノフの音楽との出会いを思い出せな いのですが、彼はつねに私にとって身近な作曲家であり続けてきましたし、幼い頃から彼の 音楽を聞き・演奏していました。その後のロシアでの長期滞在が、私のロシア人作曲家たち への愛着を深めることになりました。私は2000年代のはじめにモスクワで暮らし、チャイコ フスキー音楽院で1年間学びました。以来ロシアで——とりわけマリインスキー劇場で—— 演奏する機会を幾度も得ました。 しばしば友人たちのダーチャ(別荘)に招かれ、ロシアの田舎にも足を運びました。近代的な るものからほとんど影響を受けることなく、今日も根源的な古来のロシアの姿をとどめてい る田舎が、ラフマニノフが過ごした田園に通じていることは想像に難くありません。彼が祖 国の大地に抱いていた愛着は、この田園——教会を取り巻く小村——や、この国をなしてい るもの——人びと、四季、気候、伝統——に由来しています。 29 ジャン=バティスト·フォンリュプト
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