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かつてのショパンのように、そして同世代の同胞スクリ ャービンのように、ラフマニノフは24の前奏曲を書く という誘惑に屈した。ただし彼の前奏曲集は、三つの 段階、すなわち三つの作品番号を経て、最終的に全24 曲——象徴的な数——に至っている。全ての起源とな ったのが、有名な嬰ハ短調の前奏曲作品3-2だ。この樹 根から作品23が生まれ、7年後に作品32が続いた。そ れらはロシアの大地に深く根ざした音楽であり、やがて 亡命者となるラフマニノフが永遠に愛着を抱き続ける スラヴの魂を宿している。ジャン=バティスト·フォンリュ プトは、まるでアルバムのページをめくるように、これら の前奏曲が次々と織りなす画(え)に私たちをいざなう。 それらは、詩情を通して記憶のなかの真正な色彩を再 現する“音の絵”にたとえられる。のちのラフマニノフが、 このような作品を故郷から遠く離れた地で書くことは 二度となかった。

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