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35 エヴァ・ザヴァロ | クレマン・ルフェーヴル その緊張感は〈アンダンテ〉楽章で和らぐのでしょうか? クレマン·ルフェーヴル:〈アンダンテ〉では、音楽の流れがどこで始まり、どこで終わるのか、 分からなくなります。フレーズが溶解しているのです。どのハーモニーも意表をつき、次に続く ハーモニーへ、あらゆる展望をひらきます。この音楽には、決して結論がなく、いかなる休息 の感覚も呼び起こしません。ヴァイオリンが紡ぐ歌は果てしなく聞こえ、広大で神秘的な空 間の中で展開されていきます。奏者は、この楽章に会いに出かけ、その不可解さを手なずけ、 その宗教的とさえ言える雰囲気の中に入り込む必要があります。楽章が終わるとき、平穏な 感覚が存在していたことに気づかされます——その瞬間、ようやく私たちは〈アンダンテ〉の 全体像を掴むのです。この楽章において、私たちは優しさと黙想のエピソードを次々に経て いきます。それは、冒頭の〈アレグロ〉楽章の動揺のあとに続く、不安とは無縁の音のさすらい です。 終楽章の主題は、フォーレ自身の歌曲集『優しい歌』の《冬は終わった》に由来します。これ は何らかのメッセージなのでしょうか? エヴァ·ザヴァロ:そうかもしれませんね。いずれにせよフォーレは、人生の黄昏時にも、実 に若々しい心でいたそうです。彼は、この世を去る瞬間まで人生を謳歌し、清朗で、かくしゃ くたる精神を保っていました。この終楽章も、確かに、何かの芽生え…再生や再起を感じさ せます。

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