41 ダナ・チョカルリエ ヒバリは、言わば目撃者であり、ルーマニアの地理や歴史を俯瞰するに最適な位置にいる ということ? ダナ・チョカルリエ: その通り。本盤を導く“目撃者”ヒバリは、見たもの、聞いたもの、そして 自分が理解したと信じたもの全てを歌に乗せ、皆に知らせる。当然ながら、その軸は民俗的 な——さらに言えば牧歌的な——音世界。なぜならルーマニアは、ヨーロッパ最後の田園 風景をとどめている農業国の一つで、大地と人間が、とてもフィジカルな関係を結び続けて きたから。とはいえ、とりわけ本盤が体現しているのは、非時間的な、永遠不変のルーマニア なの。それは、おそらく[ルーマニア出身の]詩人ルシアン・バルガが「永遠は農村で生まれ た」と書いた際に思い浮かべていたルーマニアと一致する。 本盤のねらいは、鳥と農村と永遠の、親密で特別な関係を探ることにある。当然その起点と なる《ひばりCiocârlia》は、鳴き声の模倣を通して、敬愛すべきヒバリを探求した歌。鳥が生 まれながらに出来ることを、人間も沢山の努力を重ねれば再現できるのだと教えてくれる 歌——誰かがその教えを必要とするなら——でもある。この教えに従って、村のヴァイオリ ン奏者は日曜の祭りで《ひばり》を弾き、私もまた、フレデリク・アランジェのピアノ用編曲版 を奏でているというわけね。 そうは言ってもヒバリは、永遠だけでなく太陽とも対話をする。不敵なヒバリは、イカロス のように太陽の熱で羽が溶けることなど恐れず、空の彼方へ、未知の遠い世界へと向かっ ていく。これまで私は一度ならず、「渡り鳥のような私たちも、ヒバリと何ら変わらない」と、 ふと考えたことがある…… 確かにそうかもね。ヒバリがルーマニアを含む多くの文化圏で聖なる鳥とみなされているの は、この小さな生き物が太陽にめいっぱい近づいて歌い、太陽の栄光を讃えているからに他 ならない。まるで天を射る矢のように……。私たちもヒバリとして母国に責任のようなものを 負っていて、だからこそ私たちの歌も無意味ではない。それを使命とまで呼ぶのは思い上が
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