LDV117
彼のソナタ第1番では、優しさや慰めを感じさせる印象的な 瞬間もおとずれます。たとえば第3楽章では、寒空に牡丹( ぼたん)雪が舞い、人びとが暖炉のそばで身をすくめている ような瞬間があります……。紋切り型の言葉を並べる危険 をおかすならば、プロコフィエフはおそらく、遠い昔に彼が“ ニアニア(” 乳母)のそばで過ごした幼少時代を想い返して います。失われた楽園の思い出は、暴力に取り巻かれていた 彼を慰めたのではないでしょうか。 ダヴィド・グリマル: 家の中で飲むあたたかい紅茶、ろうそく の火…… イタマール・ゴラン: 美、哀愁、そして愛情……
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