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40 プーランク | ストラヴィンスキー | プロコフィエフ 今回は、戦時中に書かれた二つのソナタをプログラミングしました。プーランクのソナタ は、1942年にスペインの詩人フェデリコ·ガルシア·ロルカを偲んで書かれた作品です。同時 期にプロコフィエフが手がけたソナタ第1番は、陰鬱な雰囲気に包まれています。両大戦の 戦火を免れたストラヴィンスキーは、当時フランスが受け入れたロシア人たちを象徴する存 在であり、両国の出会いが生んだ驚くほど豊饒な芸術的成果を体現しています。ただしそれ は、より大局的、より俯瞰的な見方であり、今日のような非常に残虐な動静を超越していま す。私はヴァイオリニストとして、ウクライナのオデッサが誇る素晴らしい伝統を無視するこ とができません。ピョートル·ストルヤルスキーは同地で、ダヴィッド·オイストラフやナタン·ミ ルシテインら、偉大なヴァイオリン奏者たちを育成しました。そういえば、かつてトスカニー ニがニューヨークでNBC交響楽団を振っていたとき、同団にはキエフやリビウやオデッサや サンクトペテルブルクから米国へ渡ったユダヤ人演奏家たちが何人も所属していたのです よ。 ストラヴィンスキーの《ディヴェルティメント》は、3曲中もっとも祝祭的で、踊り出したくな るような曲です。 ダヴィド・グリマル: おっしゃる通りです。彼は多くの自作のバレエ音楽を編曲しましたが、《 ディヴェルティメント》は、バレエ《妖精の接吻》にもとづいています。これは、彼がヴァイオリ ン奏者サミュエル・ドゥシュキンとの演奏旅行のために手がけた編曲版で、素晴らしい作品 です。ストラヴィンスキーは私がこよなく愛する作曲家の一人です。私自身はこれまで、彼の さまざまな管弦楽曲を、私の楽団レ・ディソナンスとともに演奏してきました。彼の音楽に は、非の打ちどころのない音楽言語と形式、気高さ、ユーモア、陰り、そして驚くべき精巧さが みとめられます。極めて高度なヴィルトゥオジティを要求する傑作《ディヴェルティメント》で は、ヴァイオリンとピアノが実に緻密な対話を繰り広げます。
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