LDV117
3人の作曲家、3つの異なる音世界……しかし、本盤に収めら れている3作のソナタは、いずれも同時代――1930・1940年 代――に生まれ、ヴァイオリンとピアノのデュオという同一の楽器 編成で書かれている。 イーゴリ・ストラヴィンスキーがチャイコフスキーの楽曲をもとに手がけ たバレエ《妖精の接吻》は、1928年にパリのオペラ座で初演された。4 年後、ストラヴィンスキーはヴァイオリン奏者サミュエル・ドゥシュキンの 協力を得て、この新古典主義的バレエ音楽の抜粋を編曲し、《ディヴェル ティメント》と名付けることになる。 セルゲイ・プロコフィエフは、1938年に、伝説的ヴァイオリン奏者ダヴィ ド・オイストラフのためにヴァイオリン・ソナタ第1番の作曲に着手した。 このときプロコフィエフは、長い海外生活を経て故郷ロシア――当時の ソヴィエト連邦――に帰国したばかりだった。ソナタ第1番は1946年に ようやく完成し、オイストラフに献呈された。のちに彼は、プロコフィエフ の葬儀で同曲の二つのアンダンテ楽章を演奏している。 同時期の1942年から1943年にかけて、フランシス・プーランクは占領 下のパリでヴァイオリン・ソナタを書き上げた。作曲中の彼に助言をさず けた偉大なヴァイオリン奏者ジネット・ヌヴーが、1943年6月、パリのサ ル・ガヴォーにて同曲を初演。このときピアノ演奏を務めたのはプーラン クである。
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