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39 フランソワ=フレデリック·ギィ あなたはこれまで、ミュライユの幾つもの作品を演奏なさっています…… 私は、ミュライユの最初の2つのピアノ協奏曲、そして本盤の収録曲の幾つかを初演しまし た。コンサートでも、彼の他の作品を幾つも演奏しています。それらがもつ明晰さとエレガ ンスは、すでに20世紀前半のフランス音楽にみられる特質です。そうは言っても、今日の音 楽家は多くの影響を糧にしています。ミュライユ自身は、ドビュッシーとアレクサンドル・スク リャービンから感化されたと述べています。スクリャービンがドビュッシーを深く尊敬して いたことは、彼の《法悦の詩》を聞くだけで手にとるように分かります。いっぽうでミュライユ は、オリヴィエ・メシアン――彼の師です――やフランス・リストと自身の繋がりについても 語っています。 しかしミュライユは、そのような影響の枠を超えたところで熟達の極みに達し、 この上なく独自な書法をほこる大作曲家でありつづけています。

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