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40 アントニン・ドヴォルザーク_ 弦楽四重奏曲 第 10 ・ 11 今回、録音曲としてお選びになったのは、弦楽四重奏曲「アメリカ」[第12番]に先立つ第 10・11番です。この2曲は「アメリカ」に比べるとあまり演奏されませんが、それは第10 ・11番が「アメリカ」の陰に追いやられているからでしょうか?それとも、この2曲が演奏 会で頻繁に取り上げられない理由は他にあるのでしょうか? 第 10 ・ 11 番はドヴォルザークの存命中に大変な人気を博しました。母国のみならずヨーロッ パ各地で演奏され、ドヴォルザークはそのお陰で当時、最も重要な室内楽作曲家の一人 であるとの名声を得たのです。ドヴォルザークの最後の 5 曲の弦楽四重奏曲[第 10 ~ 14 番] は、いずれもこれまで、最高峰のクァルテットのレパートリーに含まれてきました。しかし、 「アメリカ」の評判とその象徴的な存在感が――実際はタイトルゆえに象徴的であるだけで すが――、他の曲を日陰に追いやっていることは確かです。それでも私たちが第 10 ・ 11 番 を公演で取り上げると、初めてこれを聴く聴衆は「アメリカ」と同等に、大きな喜びと共にそ の価値を認めてくれます。 第10番は隅々までチェコの要素が散りばめられた田園風の作品です。この曲をどのよう に捉えていらっしゃいますか?一方、第11番にはベートーヴェンのモデルに回帰しよう という意志が見られます。当時のチェコが直面していた政治的な緊張は、作品に反映さ れているのでしょうか? ヴァーツラフ・ターリヒ――ターリヒ弦楽四重奏団の創始者ヤン・ターリヒ・シニアは彼の甥に 当たります――が、第 10 ・ 11 番の性格を余すところなく解説していますので、その文章をご 質問への答えとして引用したいと思います。ヴァーツラフは解説に先立ち、ドヴォルザーク のインスピレーションの源について、より広い視点から考察を加えています。

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