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39 ターリヒ弦楽四重奏団 ドヴォルザークの弦楽四重奏曲を、このジャンルの歴史の中でどのように捉え、位置づけ ていらっしゃいますか? ドヴォルザークの弦楽四重奏曲は、チェコのあらゆるクァルテットのレパートリーの基盤で す。私たちにとって極めて重要で、不可欠な存在です。スメタナがチェコ国民楽派の創始 者であるならば、ドヴォルザークは他の音楽から大いにインスピレーションを得ながら、チェ コ国民楽派をさらに発展させた人物です――彼はモラヴィアやスロヴァキア、ポーランド、 ロシアの音楽から霊感を得、実にインティメートで繊細な独自の音楽言語を用いながら、ま さにスラブ的な響きの世界を生み出しました。ドヴォルザークの音楽を演奏する時、私たち は自分たちのテリトリーの中で、自分たちの音楽的イディオムを手にしているように感じま す。あの旋律や豊かな和声、魅惑的なリズムは、とめどもなく溢れ出るスラブ的な何かを宿 しています。例えばブダペスト出身のクァルテットは、バルトークを演奏する際に、これと同 じような親近感を抱いているに違いありません。 ドヴォルザークは、ベートーヴェンという模範から自由になることを願っていました。彼 は自らの弦楽四重奏曲にまさにチェコ的な音色を付与することで、これを成し遂げたの でしょうか? ドヴォルザークの好奇心はあらゆる音楽に向けられていました。ですから彼は、ドイツ・ロマ ン派の新音楽、とりわけワーグナーとリストの作品にもインスピレーショの源を求めました。し かし 1870 年代の終わり頃に、ドヴォルザークはベートーヴェンやシューベルトを手本としな がら、より古典的な形式に回帰していきます。
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