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134 ヨハン・セバスティアン・バッハ _ オルガン作品集 イゾワールのオルガン・ビルディングに対する知識は、他の多くのオルガン奏者たち のそれとは比べ物にならない程に豊かである。手元の鍵盤から風箱、アクション、風圧 からパイプの口に至るまで、イゾワールはオルガンという楽器を知り尽くしている。鍵盤 に対するこうしたプラグマティックなアプローチのお陰で彼は、各国の楽器製造、各時 代、各地域、そしてそれぞれの作曲家に固有な様式と、良好な関係を築くことができ た。だからこそ、彼はフランクからアテニャン、アラン、ロベルデ、そして大バッハに至る まで、あらゆる音楽を巧みに演奏できるのだ! 全曲録音が行われている最中に、イゾワールが著名なオルガンを弾きながら、ペダル 鍵盤、あるいは他の箇所に特有の音色が欠けていると嘆くことがあった。しかし、それ は序の口である・・・。彼は時に、手鍵盤から数本のパイプを取り外して、それをペダル 鍵盤につなぎ、テノールあるいはバス声部の定旋律を演奏することすらあった。それは 魔法のごとき神業だった!イゾワールは自分の工房で、音楽への情熱と同等のそれを もってノコギリやペンチを操る。その驚くべき手先の器用さによって、彼はセリネットや ポジティブ・オルガン、チェンバロなどを丸々製作してのけ、 19 世紀製のピアノ・フォル テを修復してしまうのだ・・・。

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