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129 アンドレ・イゾワール 作品が初演された場所にこだわり、そこで演奏しようとは試みなかったのでしょう か? それは実現不可能ですね。というのも、バッハ自身が弾いたことが確実とされているオ ルガンはおそらく 2 台しかないのです。極めて少ない数です。さらに言えば、バッハの 音楽はピアノやアコーディオン、シンセサイザー、その他あらゆる楽器で演奏されるこ とに耐え得るものです。完成の極致に達している音楽ですから、むしろこれを歪めるに は大変な努力が求められるのですよ(笑) 貴方の心を最も強く打つバッハの作品は何でしょうか? (沈黙ののちに)そうですね、《ミサ曲 ロ短調》の「キリエ」や「クルシフィクス」、あるいは《 マタイ受難曲》の数曲のアリアでしょうか、胸を引き裂くような・・・。いずれにせよ、嫌い なバッハの作品を挙げる方がより一層、難しいのは確かですね! バッハのオルガン音楽を介して貴方が伝えようとしたヴィジョンは、どのように定義 でき得るでしょうか? 何よりも、深く人間的なヴィジョン、という定義に集約されますね。
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