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127 アンドレ・イゾワール ソルフェージュを学ばなかったと仰いましたが、エクリチュール(音楽書法)は勉強な さったのでしょうか? いいえ、殆ど勉強していません。エクリチュールはセザール・フランク音楽学校で1年だ け、“属七の和音”止まりです・・・。のちに再び、真面目にエクリチュールを勉強せざる を得なくなりました。アンジェ音楽院のオルガンとエクリチュールの教授試験を受けた 折です。数か月間、必死になって和声法を学びました。最も難しいのは、鍵盤の助け なしに曲を作るという点ですね。バッハの様に、鍵盤がなくとも作曲中の音を 100 パー セント確信できる人がいるんだなぁと想像すると、自分がちっぽけな存在に思えてきま す・・・。 オルガン奏者の孤独を重荷に感じたことはありますか? いいえ、全く。孤独が重く伸し掛かってきたことはありません。特別に素晴らしい演奏場 所が幾つかあるのですが、なかでもストラスブール大聖堂ではオルガンが非常に高い 所に設置されており、オルガン奏者たちはこの“孤立”を高く買っています。聴き手か ら相当に離れた場所にいても、オルガン奏者には彼らが集中して演奏を聴いているか 否かが手に取るようにわかるものです。“トランペットとオルガンの公演”の場合にはこ れが特に明白になります。オルガン独奏が始まりトランペット奏者が休むと、聴衆の集 中力が大幅に低下するのを感じます。
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